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「遅くなってしまったな」
まだ、空は暗くないけれど。
でももう、昼より夜が濃い。
そんな時間。
「謝らないと」
少しだけ、恨めしそうに。
何故か、竜也が空を睨んだ。
「大丈夫です、きっと」
父の一弥も、家政婦の皐月も。
彼のことを、
気に入っているみたいだから。
信用しているって言っても、
いいかもしれない。
「怒られない?」
いつもよりもたくさん、
話しかけてくれるような気がする。
鞠弥はそれが嬉しくて、
にっこりと微笑んだ。
ただの帰り道だ。
いつもと同じ通学路なのに。
どうしてこんなに、
世界が違って見えるのかな。
なんでこれほどに、
世界は素敵に思えるのかな。
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