17人が本棚に入れています
本棚に追加
《緊急案件よ、終わり次第至急マスター室へお願い。》
《3分で戻ります。》
《悪いわね。》
またか…。
最近どうも仕事が多過ぎる。
本来なら俺が出向くまでもないが、いかんせんギルドに持ち込まれる依頼数が多すぎて、人員が足りない。
漏れそうになる溜息をのみ込みつつ、目標を定め魔力を練る。
目標数ヒートラビット156体。
名前だけは可愛らしいが、実物はマグマが自然の魔素を蓄え形を成した体長1~2mほどの鼠の魔物だ。
俺の体内で膨れ上がる魔力に反応し、直近の数十体が猛然と突進してくる。
その際、ラビットっと冠される所以が出現する。
頭頂部から突進の勢いでマグマが左右に長くたなびく。
これが兎の耳の様だとか。
マグマを振り飛ばしながら大口開けたって、可愛らしい前歯がある訳でもなし。
先人は随分と楽観思考だったようだな、などどつらつら考えながら魔法を放つ。
途端に空中にキラキラとアイスダストが舞う。
周囲の耐火植物には接触しないよう、風魔法で操りヒートラビットの口内へ誘導する。
奴らは魔素や魔力が大好物だが、知能と呼べるものは無い。
取り込んだ魔力が、例えどんな物であろうとも飲み込む。
それが身を滅ぼすとも分からずに…。
最初のコメントを投稿しよう!