第一章 プロローグ

3/6
前へ
/230ページ
次へ
取り込まれたアイスダストは無属性の魔力でコーティングしてある。 完全に飲み込んだのを見計らいコーティングを解く。 それでお終いだ。 内側からじわりじわりと冷えて数秒で醜い兎の像の完成である。 この活火山周辺は希少動植物の宝庫で、派手な戦闘は禁止されているからまどろっこしいが今回はこれで片付けている。 …さて、後140余り。 アイスダストを分割してそれぞれの近くにやれば、後はかってに食らって自滅する。 見落としは無いか火山区域一帯に探索魔法をかけるが、ちらほらと生息してはいるが、50を超す群れは無く生態系に害をなすほどではない、必要数程度だ。 「戻るか…次も楽な依頼ならいいんだが。」 チラリと最後に倒した群れを一瞥すれば、ちょうど固まった所であった。 念のため周囲に被害が及んでいないか確認するが、ヒートラビットの足元に咲く花々は健在である。 異常なしと確認し転移した。 あたり一帯に広がるのは数万に及ぶ不気味な兎の像ばかりであった。
/230ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加