第一章 プロローグ

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「ただいま戻りました。それで、緊急とはどんな?」 「あぁ、ジェイクご苦労様。これよ。」 長い金髪を乱雑に結い上げ、モノクルを掛け、けだるげに依頼書を手渡すのは30代半ばの容姿をしたギルドマスターその人。 見た目は30半ばほどであるが、実際はその倍以上、齢80を超える人物である。 魔力量と老いは密接な関係にあり、それは寿命にもかかわる。 魔力は魔法を使うためにあるのではない。 生きていく生命活動に必要なエネルギーなのだ。 魔法の行使に使用する魔力は生命維持に使われるものの余剰分から捻出しているにすぎない。 本来余剰分は、体力消費の際のあらゆる回復作用として存在している。 ゆえに魔力保有の過多で健康でいられる時期が決まる。 外見的な成長や老いの変化はそれに伴うものと言われているが、未だに研究段階であり不明な点が多い。 エルフ族や龍種が平均長寿が長いのも基礎保有量が高いためと言われている。 80才を超えてこれなんだから、天寿をまっとうするなら後100年は生きるだろう。 まあ、純粋な人間でここまでの長生き予備軍はそうそういるものではないけれど。
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