第1章

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第1章

俺の地元は東北のド田舎。 買い物に行くにも車で20分近くかけて市の中心部まで行かなければならないし、バスも2時間に一本、過疎化が進み、今やジジババしかいないような絵に描いたような山村の田舎町。 そんな田舎だからこそこんな言い伝えがあります。 『天女の羽衣伝説』 日本各地に残っている伝承だし、知ってる人も多いはずなので簡単に説明すると 昔、青年(老人の場合もある)が湖で水浴びをしている天女に一目惚れしてしまう。 天女を帰すまいと男は天女の羽衣を隠してしまう。 天に帰れず、泣きくれる天女の前に男は何食わぬ顔で現れ、夫婦(老人の場合は娘に)となる。 しかし、数年後掃除をしていた天女は失くしたはずの羽衣をたまたま見つけてしまう。 自分は夫(老人)に騙されていたと気づいた天女は怒って天に帰ってしまう。 というのが大まかな話。 ただ俺の地元に残っている伝承は流れは一緒だけれど、所々が違ってます。 しかもそれが地元の歴史に妙にリンクするのが面白いんです。 俺の地元には城山と呼ばれる山があります。 この山の頂上には昔城があり、片側は絶壁で木々は生い茂ってはいるが、登ることはできず、反対側は山道をわざと七曲りにしていました。 そのため城に攻め込むためには山道を通るしかないわけで、守る側は罠も仕掛けやすく、坂落としのような戦法も容易、さらにそれらをくぐり抜けて城までたどり着いたとしても、敵の数も減り、負傷と疲労でまともに戦えるわけもない。そのため、難攻不落の城として当時は有名だったらしいです。 俺も久しく実家に帰ってないですし、最後に聞いたのも十数年前なんで時代を明確に覚えてないんですが、かの有名な松尾芭蕉が訪れた時にはもう城はなく、城跡として植えられた杉の木がそこそこ育っていたとのことだったはずなので、城があったのは戦国時代以前のことですね。(曖昧ですいません)
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