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校舎からグラウンドに延びたコンクリートの段に座って、体育の授業を見学する。
本当だったら私もテニスできたのにな……なんか楽しそうで羨ましいな。
「橘くん、がんばってー!」
男子の中で一際目を引く彼は女子の応援を集めながら、器用にサッカーボールを操ってゴールへと近付いていく。
かっこいいな……太陽を浴び、そよ風を受けて走り回る橘くんは、本当に王子さまだと思う。仲間と笑って話す笑顔がまぶしくて、私は目を離せなくなった。
「橘くんを好きな子って、何人いるんだろうね」
文香がラケットを手に、様子を見に来てくれた。
「さぁ……学年女子の大半がそうなんじゃないの?」
「私は、あずさと橘くんって結構いい感じなんじゃないかって思うけどな」
「まさか、そんなことないよ。みんなに優しいじゃん」
だけど、私にだけは、すごくいじわるだ。
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