Secret 6

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 校舎からグラウンドに延びたコンクリートの段に座って、体育の授業を見学する。  本当だったら私もテニスできたのにな……なんか楽しそうで羨ましいな。  「橘くん、がんばってー!」  男子の中で一際目を引く彼は女子の応援を集めながら、器用にサッカーボールを操ってゴールへと近付いていく。  かっこいいな……太陽を浴び、そよ風を受けて走り回る橘くんは、本当に王子さまだと思う。仲間と笑って話す笑顔がまぶしくて、私は目を離せなくなった。  「橘くんを好きな子って、何人いるんだろうね」  文香がラケットを手に、様子を見に来てくれた。  「さぁ……学年女子の大半がそうなんじゃないの?」  「私は、あずさと橘くんって結構いい感じなんじゃないかって思うけどな」  「まさか、そんなことないよ。みんなに優しいじゃん」  だけど、私にだけは、すごくいじわるだ。
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