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橘くんはグラウンドを見て、自分のチームの動きに目を凝らしているみたいだ。
私は、その隣で彼の横顔に視線を投げる。
高い鼻の下に、綺麗な形のくちびる。
目尻の小さなほくろに影を落とす、長いまつげ。
それに飾られた切れ長の涼しい瞳。
自然な色に日焼けした肌……文句をつけるところがないなぁ。
「見んなって、視線がウザい」
「み、見てないし!」
「……焦ってんじゃん」
ずっとグラウンドに目を向けて、彼は私の気持ちを当ててきた。
「見てない!自意識過剰なんじゃないのっ?!」
「はぁ?お前、今なんて言った?」
「……」
ケンカを売るようなことをうっかり口走って、激しく後悔する。もう橘くんを見れなくて、また私は俯いて逃げ場を探した。
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