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１年前のあの日のことも、忘れられない。
「キミ、背が高いね。雰囲気も顔立ちも綺麗だし、モデルやりませんか？」
歯医者の待合室で見かけたはずの女の人が、治療を終えて帰ろうとする俺を外で待っていたんだ。
モデルに興味はないけど、服は好き。目立つことも嫌いじゃない。
昔から大人びていると言われていたけれど、まさかスカウトされるとは思ってもみなかった。
デビューした大人気のメンズファッション誌は、新人専属モデルを毎年オーディションして募集しているのに、俺は飛び入りで紙面を飾った。
２０歳を過ぎた先輩たちと並んだら、差がありすぎて浮くと思っていたのに、スタジオで撮った写真を確認したら、意外なほどに馴染んでいて、あの時は驚いたな……。
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