てがみ。

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十四通目の彼からの手紙は白紙だった 端から端までくまなくみたけれど 結局なにもなくて途方にくれた なんで白紙なの?なんて 彼に手紙をかいた けれどいつまでたっても彼からの返事はこなくて 急に不安になって怖くなって もう1通彼に手紙をかいた それでも返事はこなかった なぜ白紙なのか、 彼はどうしているのか、 疑問だけがのこる そうして、3ヶ月の月日がながれ、 私の家に1通の手紙が届いた。 それは彼からの手紙ではなく、彼の家族からのものだった。 彼が余命3ヶ月と宣告され、そして、ついこの間、なくなったこと。 自分が死んだら、この手紙を送ってほしいといっていたこと。 手紙にはそうしたことが綴られていた。 その手紙のなかに、君が私に宛てた手紙もはいっていた。 そこには、ただ一言、 "あぶってみて" と彼の字で書いてあった。 なにを今更。 そう、思った。 黙って死んでいった彼を恨んだ。 私には彼の最後を見届けることすらも許されなかったのか。 もう私のことなんて想っていなかったのか。 怒りと 悔しさが 渦を巻いて 涙はでなかった 泣けなかった 彼に一言いいたかった。 彼のいう"あぶってみて"はきっと、十四通目の白紙の手紙のことなんだろうと考えが至ったのは それから5日後だった 十四通目の手紙をとりだし、ライターであぶってみる。 徐々に浮かび上がってきた文字を読んで 思わず泣いた。 『ずっと大好きだよ。』 ただ一言、そう書いてあった。 …うん。疲れたからおーわり。
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