王への非礼は私の特権

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淫らかつ恍惚な笑みを浮かべて云う王に思わず笑みが洩れる。 満足だ。 と、私が誘導させた言葉だが、それが私には最上級に価する褒め言葉だ。 「それは、恐悦至極です」 「は、はは、私に恐れなど……感じて、いないだろう……あっ」 「そんなことはないですよ」 恐れ多くも……等と萎縮する立場の恐れは確かにもう感じはしない。 ただ、いつか王が私の目の前から居なくなるのではないかと思うと、時々恐くはなる。 其れを掻き消すように、ありったけの独占欲を王に打ち付ける。 「あ、あっ、い、あああっ!!」 王は言葉にならない喘ぎと共に、身体全身を痙攣させるようにした。 解き放ったのだ。 なのにまだ私を感じている顔と身体。 その姿に不覚にも興奮する。 「気を抜くのはまだ早いですよ」 「なら早く、私へおいで」 息を絶え絶えにしつつも、王が妖しく笑う。 全く。なんて淫乱で可愛い人なのだろう。 もう、私もここが限界だ。速度をあげる。 昇りきったところで、「ううっ」と、情けない声が出てしまう。 それに反応して王も声を荒げた。 頂点から収まっていくにつれ、ゆっくりと息を整え、体重を王に掛けて抱きしめる。
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