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「っつう……」と、顔をしかめる。
漏らす吐息を塞ぎ、唾液を交じ合わせる。
お互いの唾液が混じりあう。
こちらが攻め入ろうとすれば貪るように絡み付いてくる。
さっき飲んでいた、すももの果実酒の味が僅かに残る。
その味を貪るように私に押し入ろうしてきた。
が、そうはさせたくなく、甘く舌を噛んでやる。
間近でしかめる顔を拝めるのも色欲をそそられる。
その表情を求め、一旦唇を離し、その顔を鼻先が当たる位の距離で視る。
「その癖、直すつもりはないのかい」
そう、たどたどしく口答えをする。
その姿もいとおしく思い、口角が上がってしまう。
私の価値観がずれているのか、王の魅力がそうさせるのかは分からないが、この際どちらでもいい。
「王が私に押し入ろうとしなければ、そういうことはしませんよ。「主導権は、私にある」のですから。……重ねるのは唇や躰だけで十分ですよ」
言葉を重ねてきた王に、軽いキスをしてたしなめる。
「何度も聴いてるとタイミングも分かってくるものだよ」
ニヤリと笑う顔は、どこか悪戯気がある。
「分かっているのであれば、いい加減に覚えていただきたい」
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