王への非礼は私の特権

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この頂きの快楽が過ぎると、満足感と共に何処か虚空感もあり、もう少しこのままで居たいと願ってしまう。 王と繋がったままで息を整えつつ静止している。 「は、ははっ」 「……何を笑っておられるのですか」 私が達した直後から声を出して 笑う王に理由を訊く。 「クレイの余裕のない声が可笑しくてな」 全く、何を笑っているかと思えば。 「ふ、貴方に云われたくないですね」 「まあ、そうだな」 王は私の頬を撫でて笑みを浮かべた。 「今の笑顔、いいね」 笑っていた? 私が? 「そうですか。なら、普段は良くないとでも」 「普段の的を射抜くような笑みも私は好きだよ。それでも苦手に思う人は多いんじゃないか」 「おや。私は優しく笑みを浮かべてるつもりなのですが」 「そうとは思わないが」 「酷いですね」 「ほら、その笑み。今は意地悪そうだ」 「そうですか」 王は悪戯じみた感情を含んだ笑みを返してきた。 どうも私は自然な笑みを作るのは苦手らしい。 それでも別に問題はないと思っているし、笑みが凄味になって、周りを牽制させる道具になっているのであれば利用もする。 が、こうやって王が喜んでくれているなら私にとって幸せなのだろう。
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