王への非礼は私の特権

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「早から、お漏らしでらっしゃいますか」 「はっ、これだけもて遊んでおきながら云うかい? 優しいんだか、意地悪なんだか」 「上書きは儀式のようなものですから、仕方がないでしょう」 深いキスをしてやる。 絡めた舌を離すと、王は物欲しそうに身体を押し付けて微笑する。 それから思い付いたように妖しく笑い、身体を自ら離してきた。 「そうだな。ではまだ、上書きする場所が残ってるんじゃないのか」 王はそう言うと産まれた姿のままシーツにくるまり、ベッドに座った。 王の行動で、まるで疑似餌で引き寄せられる生き物になった気分になる。 「んっ」 自分自身で快感を確かめている。 「ほら、此所が残っているだろう」 「……そうですね」 此のまま魅了されて観賞するのも悪くない。 王自ら、淫らに欲し、誘っている姿は私にしか見せないであろう姿で、もう少しだけ愉しんでいたいところでもある。
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