王への非礼は私の特権

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身体が生物学的には繋がる必要はない場所で繋がった時、快感を共有してると錯覚する。 この時間だけは、王と心も繋がっている感覚になれる。 それは間違いだという自覚もありながらも。 そのまま王の躰を抱いて、全身でその錯覚を本物にしたいとする。 王は息を細く吐きながら恍惚めいた表情を私に見せた。 半空きになっている口は、物欲しげに私を求めているのだ。 王のやや薄い唇に私の唇を重ね合わせる。 自然に舌を絡ませ、お互いの唾液が絡み合うと、それが媚薬めいた蜜になっていく。 その脳天に抜けるような快楽は、王も感じているのだろう。 お互いの呼吸が荒くなって、熱くなるのを感じる。 王も刺激を求めてよがってくるので、私もそれに応じて腰を動かしてやる。 いや、私も一体感という繋がり以上の快楽を王に求めているのだろう。 甘く、激しく、融けてゆく快楽を。 「クレイ、ああ、気持ち、いい……もっと……もっと激しく」 腕を背中に絡ませてきて、貪るように指を食い込ませてきた。 その痛みもいとおしく思う。 王は眉間に皺を寄せながらも、瞳は潤み、アメジストのように妖しく光っている。 口元はゆるんで、交わった蜜で艶めいて。 「少しは満足してくれましたか」 「ああ、満足だ」
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