472人が本棚に入れています
本棚に追加
/89ページ
「匠はどういうのが好き? 男のほうがジェットコースター苦手って人、多いけど、匠もそういうの怖い?」
「大抵のは怖いとかない」
「大抵?」
「乗ったことないのもあるからな」
的確すぎる返事にわたしは笑ってしまう。
「あ、なあんだ、そういうこと! じゃ、匠が乗ったことないのに乗りたい」
匠はいかにも無理強いされているというため息をついたけれど、わたしの気のすむまで初デートに付き合ってくれた。
残念だったのは、どんな乗り物でもお化け屋敷でも、匠から動揺を引きだせなかったことだ。
それから休みが来るたびに誘ってみると、渋々ながらも付き合ってくれる。
夏休みになると、頻繁(ヒンパン)にではなくても思いだしたように、匠から誘ってくるようになった。
最初のコメントを投稿しよう!