471人が本棚に入れています
本棚に追加
/89ページ
「立花さん、お化粧室はどこですか」
「カウンターの奥。ここ、お化粧室もお洒落だから」
「うわぁ。じゃ、いってきます!」
後輩は張りきってカウンターのほうへと向かった。
業平への入社を機に、広島から上京してきた彼女はいちいち反応が無邪気だ。
わたしはうらやましさ半分、独り笑った。
「いま独り?」
ワインを一口飲んで、グラスをテーブルに置いたと同時に、すぐ傍の頭上から低い声がした。
顔を仰向けると、三十代半ばだろうか、男の人がわたしを見下ろしていた。
最初のコメントを投稿しよう!