4.まるで少年のように

2/22
471人が本棚に入れています
本棚に追加
/89ページ
「立花さん、お化粧室はどこですか」 「カウンターの奥。ここ、お化粧室もお洒落だから」 「うわぁ。じゃ、いってきます!」 後輩は張りきってカウンターのほうへと向かった。 業平への入社を機に、広島から上京してきた彼女はいちいち反応が無邪気だ。 わたしはうらやましさ半分、独り笑った。 「いま独り?」 ワインを一口飲んで、グラスをテーブルに置いたと同時に、すぐ傍の頭上から低い声がした。 顔を仰向けると、三十代半ばだろうか、男の人がわたしを見下ろしていた。
/89ページ

最初のコメントを投稿しよう!