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美里は美人だからね。
そんな友だちの褒め言葉を鵜呑みにした。
両親でさえ、小さい頃から“可愛い娘”とあからさまに自慢していたから。
付き合ってほしいという告白が多いのはそのせいだと思っていたのに、そのうち、カルい女だと噂されていることがわかった。
傷つくよりは、詰まらない人のやっかみだと思った。
どうかしてる。
わたしは鏡に映る自分を見つめてため息をついた。
やっかんだ人ではなくて、わたしのほうがまるっきりのばかで、ただ恥ずかしい。
気づかせてくれたのは匠だ。
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