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雨が降っている。
交差点の中央には、私。
祖父の兄が乗っていたというアンティークな自転車は車に踏まれても無傷なようだ。
おかげで私は骨折したようだが。
否、骨折で済んだのか。
バックするハッチバックの車に押し倒され、雨にうたれる。
「大丈夫ですか!」
運転手が駆けてくる。若い女か。
「折れてる。救急車と警察を呼んでくれ。あ、バイト先にも電話を。」
昔からトラブルに遭うと冷静になる。防衛本能でも働いているのか?
クラクションの嵐。一方通行の出口だ、当然であろう。
這いずって路肩に寝る。最早なるようにしかならないのだ。
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