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俺、こんなの初めてだ。
自分で自分の感情を制御できない。
少しでも離れようものなら、すぐに追い求めてしまう。
「ミ……コちゃ……」
僅かな隙を縫って漏れた掠れ声。
その吐息にも似た声に俺はようやく我に返ったものの、その唇を解放してしまうのが堪らなく不安だった。
また、消えてしまうんじゃないかと。
どんなことでもいいから彼女を感じたくて額をコツンッとくっつけた。
「本物のキスってのはこういうのを言うんだよ。分かった?」
息も絶え絶えに頬を紅潮させるかれん。
その少し開いた唇を親指でそっとなぞった。
「猫なんかに負けねーよ」
かれんへの想い。
思い出と共にずっとずっと大切にしまってあったんだ。
他の恋愛に目を向けたこともあったし、たかがガキの頃の話……なんて思ったりもしてみたけど、やっぱり消せなかった。
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