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「いきなり……すぎ」
俺の胸元をギュッと握りしめたかれんは、そのまま下を向いてしまった。
恥ずかしさに耐え忍んでいる彼女も可愛いけど、ここまで来たからにはもっと見せて欲しい。
「顔、上げて?」
かれんはふるふるっと首を振って髪を揺らした。
「上げないと、もっかいするぞ?」
かれんは手の力を強めて、体をビクッと震わせる。
ちょっと、やりすぎたか……なんて今さら思ってみたり。
「かれん。顔、見せて?」
「無理……」
そんなこと言ってると俺、どうなるか知らねぇよ?
この場面において、無意識の煽りほど罪なものはない。
「しゃーねぇな」
俺は両手でかれんの頬に触れ、ゆっくりと自分の方へと向けた。
そこに現れたのは暗闇の中でも煌めく瞳。
ここに来て俺はまた生唾を飲み込んだ。
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