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「よして下さい。それより綺麗でしょう?リラの花。征司お兄様のお部屋にぴったり」
年代物の花瓶に薄紫色のリラを活け終えると。
まるで褒められるのを待っている犬のように
僕は征司を振り返る。
「花なんか!何の役に立つ?」
合理主義の皮肉屋。
「少なくとも、その頑なな心を柔らかく」
僕はそっと
征司が身を投げるソファーの足元に腰かけると
「僕がいない時は、僕の代わりに花を愛でて」
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