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それだけ遅くまで勉強をしていたのだろう。
学年でつねに成績トップクラスだけある。
生徒会の副会長なんかもやっちゃってさ。
来年はきっと生徒会長。
先生からも生徒からも信頼されて、人気者で、誰にでも優しい彼。
そんな彼のことが、あたしはあまり好きではない。
ベッドに視線を送ると。
布団の中に丸まる大きな物体。
寝相はそんなに悪くない。
いびきもかいてるわけじゃない。
優太さんに似たフワフワの柔らかそうな髪が少しだけ布団からはみ出ていて。
顔は壁側を向いていた寝顔を見ることはできなかった。
「純人、起きて」
徐々に近づくあたしたちの距離。
「ほら、起きてよ」
そう声をかけるけれど、その声は決して大きくはない。
その理由?
そんなの、初めから彼を起そうなんて思ってないから。
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