幼なじみ①

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一歩一歩、ベッドに近づくあたしは足音も立てないように慎重に。 もう手を伸ばせば届く距離まで近づいてから。 「ほら、起きろ!」 そう言って、ベッドの上にできた塊にダイブすると。 「ぐ、はぁっ」 なんとも間抜けな蛙のつぶれたような声がした。 すかさず布団をはがして、その痛みと驚きに歪んだであろうその顔を拝もうとしたけれど。 あたしと純人の間に挟まれていた布団が、そのままあたしに襲い掛かってきて。 身体を包まれたかと思うと、ぐるりと身体が反転してギューギューに押しつぶされた。 「凛。もう少しまともな起し方で出来ないの?」 その上から、寝起きのはずなのに擦れることなく爽やかな声。 この家は“爽やか”から出来ている、なんて呑気なことを考えながらも。 さすがに布団に包まれたままだと息苦しい。 「…純人、苦しい」 わざと声色を変えて息苦しさをアピールしてみれば。 慌ててその布団をはがしてあたしを救出してくれる彼の優しさに、ココロの中でニヤリと微笑んだ。
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