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相変わらず、動揺一つ見せない目の前の純人に。
右手に触れていた枕を掴んで、顔面に向って投げつけた。
この至近距離でクリーンヒット。
「うわっ」
と、枕に押しつぶされた声。
そのままの勢いで、純人を押し倒した。
「…何やってるのさ」
枕を自分でどかして現れたのは、怪訝な顔をした純人。
彼の上に跨ってるから、あたしが純人を見下ろしてる体勢に少しだけ優位に立ってるような気がしてしまう。
「何って、まだ何も?」
だって、これからでしょ?
なんて、わざと身体を密着させて。
純人の耳元で『気持ちいいことしよっか?』なんて、甘く囁いてみる。
クスリ、と笑うあたしの耳に。
「凛」
突如聞こえてきたのは、甘さも何も含まない無機質な硬い声。
さっきまでの柔らかさなんでどこにもなくて。
「ふざけないの」
まるで小さい子を叱っているような、そんな口調。
そんな眼差し。
まっすぐにあたしを見つめて、決して目を逸らさない。
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