幼なじみ②

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ダルそうにポケットに手を突っ込んだまま、足を引きずるように歩くその姿は。 ヤル気も何も感じられない。 大きな体。 着崩された制服に、ちょっとボサボサの黒髪。 長めの前髪から覗く鋭い瞳。 不機嫌そうなその態度。 近寄りがたいその雰囲気に、周りの女の子たちは少し引き気味に彼を見遣る。 目を逸らすのではなく、チラッと盗み見するのは。 清潔感漂うとは到底言えない身なりなのに。 彼の纏う空気が、雰囲気が、他の男子と違っているから。 つい二ヶ月前まで中学生だったとは思えないほど大人っぽくて。 くだらないことで盛り上がる他の男子たちと違って、いつも一歩引いた感じで落ち着いてる。 口数が少なくて、いつもクールで、滅多に笑わない彼の笑顔の破壊力は抜群で。 彼、五十嵐奏(かなで)に密かに憧れてる子は、きっとたくさんいる。
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