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夢花と愛子が、五十嵐奏の話で盛り上がる中。
チラッと教室の真ん中へと視線を向けると。
見事に、その中心に立つ彼と目が合った。
表情一つ変えないで、廊下へ視線を向けてクイッと顎を上げて。
だけど一瞬だけ、クイッと上がった口許は他の誰にも見られていないはず。
残りのお弁当を口に入るだけ押し込んで、無理やりお茶で流し込む。
せっかくの彩南さんが作ってくれたお弁当。
こんなふうに食べるのは申し訳ないけど、だからと言って残すなんてありえない。
「ゴメン、ちょっとお手洗い行ってくるね」
急いでお弁当箱を閉じてカバンに押し込むと。
三人にそれだけ言って教室を飛び出した。
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