幼なじみ②

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だけど、その向かい側に立つ彼女の眩しいくらいの笑顔がそのまま彼の表情にも繋がるんだと思う。 副会長と書記の、生徒会室での密会。 …なんて、そんな意味深なものじゃないのは知ってる。 あと数分もすれば、他の生徒会役員が集まってきて。 5月の終わりにある球技大会についての話し合いが始まるだろう。 だけど、書記の栗原美波さんのあの笑顔を見ると、なんだかモヤッとしてしまう。 作り物ではない、自然で柔らかな笑み。 嫌味のない温かい微笑み。 彼女は生徒にも先生にも評判がよくて。 美人で勉強も運動もできる、まさに才色兼備。 彼女に憧れている人はたくさんいて、男女ともにモテて。 いつも、純人の隣にいるのが当たり前のようで。 お似合いの二人。 思わず立ち止まってしまったあたしのことに。 栗原さんが気づきそうになって、慌てて小走りで階段へ向かった。 そのままダッシュで駆け上る。 生徒会室の中を覗いてたなんて。 あの二人には、気づかれたくない。
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