第2話 ペイシン

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マサシムに殺されかけてから3時間後。 シゲミは単身、山国県に来ていた。 「ここか?」 シゲミは、山国空港からタクシーに乗り、村田に聞いた町はずれの小汚い雑居ビルの前にいた。 看板には、チョンペ道場と書いてある。 「ここに、アゴシャクレという男がいるのか・・・」 時間は23時半。夜更けにも関わらず、道場の灯りはついていた。 中からは、練習生らしき者のかけ声が聞こえている。 練習中だろうが何だろうが、命が掛かっているので、形振り構っていられない。 突然の訪問に、アゴシャクレが、どう対応するかなど考えてはいない。 そのビルに入ろうと一歩前に足を出したとき呼び止められた。 「あの・・・・・・・道場に用事ですか?」 黒縁メガネに作業着の男が、エコ袋いっぱいの缶コーヒーを持って、シゲミに声を掛けてきた。 この男を、仕事帰りに稽古に来た男だと判断したシゲミ。 わざわざ会いに行く手間が省けたと、少し嬉しそうに男に答えるシゲミ。 「お!ここの道場の人かね?アゴシャクレさんに会いたいのじゃが、呼んできてくれんかのぅ」 ニコニコとするシゲミに、愛想良く答えた男だったが、言う内容は厳しいものだ。 「見当違いだし、命令するなアホ♪俺は殺し屋で~す♪」 愛用のエコ袋いっぱいの缶コーヒーは、カモフラージュ。 男は、ピストルをシゲミに突きつけた。 まだ、突きつけるだけの威嚇で撃つ気はサラサラない。それでも恐怖は十分に与えている。
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