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マサシムに殺されかけてから3時間後。
シゲミは単身、山国県に来ていた。
「ここか?」
シゲミは、山国空港からタクシーに乗り、村田に聞いた町はずれの小汚い雑居ビルの前にいた。
看板には、チョンペ道場と書いてある。
「ここに、アゴシャクレという男がいるのか・・・」
時間は23時半。夜更けにも関わらず、道場の灯りはついていた。
中からは、練習生らしき者のかけ声が聞こえている。
練習中だろうが何だろうが、命が掛かっているので、形振り構っていられない。
突然の訪問に、アゴシャクレが、どう対応するかなど考えてはいない。
そのビルに入ろうと一歩前に足を出したとき呼び止められた。
「あの・・・・・・・道場に用事ですか?」
黒縁メガネに作業着の男が、エコ袋いっぱいの缶コーヒーを持って、シゲミに声を掛けてきた。
この男を、仕事帰りに稽古に来た男だと判断したシゲミ。
わざわざ会いに行く手間が省けたと、少し嬉しそうに男に答えるシゲミ。
「お!ここの道場の人かね?アゴシャクレさんに会いたいのじゃが、呼んできてくれんかのぅ」
ニコニコとするシゲミに、愛想良く答えた男だったが、言う内容は厳しいものだ。
「見当違いだし、命令するなアホ♪俺は殺し屋で~す♪」
愛用のエコ袋いっぱいの缶コーヒーは、カモフラージュ。
男は、ピストルをシゲミに突きつけた。
まだ、突きつけるだけの威嚇で撃つ気はサラサラない。それでも恐怖は十分に与えている。
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