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その隙をみて、シゲミは咄嗟にビルの中に逃げた。
「あ、コラ逃げんな!」
初老の人間の動きではない速さで、ビルの階段を駆け上っていくシゲミ。
運動神経抜群のペイシンでも、捕まえられなかった。
「ほっとけ!追うな!」
階段を2、3歩駆け上がってすぐにマサシムに止められたペイシン。
「何で?」
「ここに来たってことは、アゴシャクレに助けを求めたんだろ?やり方はいくらでもある」
想定内の出来事だと落ち着くマサシムとは対照的に、居ても立っても居られないペイシン。
「でも、他のアサシンに殺されたら懸賞金はパーなんだぞ!もし、アゴシャクレが殺っちまったら・・・・・・」
それを聞き、自分にも知らされていないことがあると、少し不機嫌になるマサシム。
「どれだけの奴に依頼したんだ?」
「え?全国で懸賞掛けたって代表が言ってたぜ♪知らんのか?」
「そうなのか・・・・・・じゃ、こうする」
スマホを取りだし連絡するマサシム。
「もしもし・・・・・・俺だ。シゲミ・田中の件についてだが、急いで代表に繋げ」
マサシムが電話したのは、裏社会を牛耳るサイキのスマホだ。
しかし、対応したのは、いつもと同じくサイキの側近である秘書のナンヴーだ。
普段から、滅多に人と接することのないサイキ。
ナンヴーが、全てを任されているからだ。
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