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「愚かだな。命乞いするために金を貯め込んでいたのか」
「う、うるさい!ワシの金じゃ。どう使おうとワシの勝手じゃろうが!」
腕時計から視線を外し、シゲミを見る若い殺し屋。
「時間だ。どっちだ?」
「おおおおおおお前みたいなもんに、決められてたまるか!」
「分かってない爺だ。貴様の命は俺次第と言っただろ」
「ワシののののの、権力と金があればばば、お前ぐらい消せるわいや!」
それを聞いてピストルを懐にしまう若い男。
シゲミの権力と金に興味を持ったわけではない。
この場で簡単に殺してしまっては、物足りないと感じたからだ。
シゲミを殺すことはしない。それがシゲミにも村田にも分かった。
二人は、ほっと胸をなで下ろしたが、若い男の威圧感の前に安心はまだ出来ない。
「・・・・・・そうか。たった今から恐怖の中で生きろ。生きることが絶望でしかない人生を送れ」
そう言い残し立ち去る若い殺し屋。
底知れぬ恐怖を植え付けられたシゲミ。隣で立っていた用心棒の村田に指図する。
「む、む、む、村田!あいつを殺れ!今すぐ追いかけて殺してこい!」
「いや・・・・・・自分には無理です」
「無理なもんかいや!やらずして分かるんかっ?」
「いや、シゲミ様なら、あの男・・・・・・いかほどか分かっていると思ったんですが」
「どういうことじゃ?」
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