第1話 狙われたハゲ

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「愚かだな。命乞いするために金を貯め込んでいたのか」 「う、うるさい!ワシの金じゃ。どう使おうとワシの勝手じゃろうが!」 腕時計から視線を外し、シゲミを見る若い殺し屋。 「時間だ。どっちだ?」 「おおおおおおお前みたいなもんに、決められてたまるか!」 「分かってない爺だ。貴様の命は俺次第と言っただろ」 「ワシののののの、権力と金があればばば、お前ぐらい消せるわいや!」 それを聞いてピストルを懐にしまう若い男。 シゲミの権力と金に興味を持ったわけではない。 この場で簡単に殺してしまっては、物足りないと感じたからだ。 シゲミを殺すことはしない。それがシゲミにも村田にも分かった。 二人は、ほっと胸をなで下ろしたが、若い男の威圧感の前に安心はまだ出来ない。 「・・・・・・そうか。たった今から恐怖の中で生きろ。生きることが絶望でしかない人生を送れ」 そう言い残し立ち去る若い殺し屋。 底知れぬ恐怖を植え付けられたシゲミ。隣で立っていた用心棒の村田に指図する。 「む、む、む、村田!あいつを殺れ!今すぐ追いかけて殺してこい!」 「いや・・・・・・自分には無理です」 「無理なもんかいや!やらずして分かるんかっ?」 「いや、シゲミ様なら、あの男・・・・・・いかほどか分かっていると思ったんですが」 「どういうことじゃ?」
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