序章 奪われた日常

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…………………………。 ……あれ? 何も起こらない。 ゆっくり目を開けてみた。 目の前に知らない背中があった。 「大丈夫か?小僧」 巫女姿の女が立っていた。 あれ? いつの間に。 「あ、あぁ……それよりあの蜘蛛は!」 俺がそういうと女は納得したかのように軽く頷いた。 「なるほど、おぬしには見えるのじゃな?だからあやつは」 すると女の後ろにあの化物が見えた。 そしてまた液体を飛ばしてきた。 「しつこいやつじゃのう」 女は腰に下げていた刀のようなものをひと振りし、液体をなぎ払った。 まさか本物じゃないよな……? 「人が話しておるのに邪魔するでない」 化物にそういうとまた俺の方を向いた。 「おぬし、あやつが見えるのか?」 俺は頷いた。 「あやつに何かしたか?例えば近づいたり触ろうとしたり」 俺は思いっきり首を振った。 「俺はただ凝視しただけだ!何もしてない!」
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