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「エイラ!後少しの辛抱だ!頑張ってくれ!」
妻を大事そうに見つめ叫んでいるのはこのオスクリダ家の当主、『オルド・オスクリダ』だ。
エイラ「あなた…ありがとう、この子の為、なら…このくら、い…」
息を切らしながらオルドの妻、『エイラ・オスクリダ』がそれに答える。
オスクリダ家に仕える使用人たちが何時間も前から心底心配そうに見つめている。エイラの体力の消耗が激しい。難産のようだ。
オルド「エイラ、辛いと思うが…分かるか、これだけの力を持った子が生まれてきてくれる…きっと、強く優しい子に育ってくれる筈だ。」
この魔法世界では、出産の際、子供が大きな魔力を持っていれば持っているほど母体に強い影響が出る。
つまり、難産であればあるほど強い力を持った子供が生まれてきてくれるのだ。
六大貴族は貴族であるのだが、他の貴族のように子供が強い力を持っていないと認めないというような、傲慢な性格ではない。
このオルド・オスクリダもまだ、プライドを一番にしている他の貴族たちとは違い、大事な子供が強い力を持っていてくれればこの子もあまり辛い思いをしなくて済むのでは、と素直に子供の身を案じているのだ。
一般的に闇属性を宿した人間はその身の強い闇の力に飲み込まれてしまいやすい。そのため、闇属性は身体や性格に問題の起こりやすい属性となってしまっている。
しかし闇属性を極めたオスクリダ家はそれでもなお、強い心を持ち続けたのだ。
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