25歳

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「ちょっと、急ぐんだけど。」 楠本は大胆に伸びをして 動くつもりはないらしい。 「今日あれでしょ?誕生日。」 「・・・だったら何?」 「振られないようにね。」 なんなんだろう。 逐一腹の立つ男だ。 「生憎、この間指輪貰ったばかりですので。」 「へぇ。安物?」 「SURUGAの新作の指輪よ!」 「意外だわ。」 全く動く気のない楠本に 痺れを切らし、 遠回りして、部署を出た。 「もしもし、私。」 「どした?」 「車のキー忘れて戻ったから、今から行く。」 「ん。待ってる。気ぃ付けて。」 私は電話を切って 車へと向かった。
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