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「ちょっと、急ぐんだけど。」
楠本は大胆に伸びをして
動くつもりはないらしい。
「今日あれでしょ?誕生日。」
「・・・だったら何?」
「振られないようにね。」
なんなんだろう。
逐一腹の立つ男だ。
「生憎、この間指輪貰ったばかりですので。」
「へぇ。安物?」
「SURUGAの新作の指輪よ!」
「意外だわ。」
全く動く気のない楠本に
痺れを切らし、
遠回りして、部署を出た。
「もしもし、私。」
「どした?」
「車のキー忘れて戻ったから、今から行く。」
「ん。待ってる。気ぃ付けて。」
私は電話を切って
車へと向かった。
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