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その対戦を二人の友達がよく見にくるんだよ。探偵事務所がさながら、老人ホームになる日がある。
でもいいさ。
年を取って行き場がないのは淋しいから、ここで茶飲み友達を増やして貰えれば、おれも嬉しいよ。
彼らの話しは主に、年金、健康、孫の自慢話だけど、時々戦争の話が出るんだ。
みんな同じことを言う。
「戦争でいい思い出なんか、一つもありゃしない」
「笑顔で語れない話ってのは、間違っているんじゃよ」
「戦争なんて、二度とごめんだ」
確かに、戦争は始まればただの殺し合いだ。いかに効率よく、いかにたくさんの人を殺したかを競いあうもの。
戦争でまず犠牲になるのは、一般市民の女性や子どもたちだ。決して、戦争を始めた権力者の家族ではない。
知ってほしい。
正しい戦争など、無いってことを。
おや? タケシが顔をあげた。
じっと扉を見つめている。
もしかしたら……。
ノックがした。
どうやら次の依頼人のようだ。
今度の相談は何だろう。
たとえ相手が誰であれ、どんな内容であってもおれは、精一杯の幸せを届けるよ。
もしも悩みがあったら、あんたも来てみなよ。
おれとタケシが待ってるから。
この『愛田探偵事務所』でね。
(了)
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