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ビジネス契約!?
全員が呆気に取られている。慌てだしたのは角児だった。
「会長、うちとのビジネスをお考えなのですか?」
裕子さんは暖かな日差しのような笑みを見せた。
「もちろん、そうですよ」
反して、角児は腕を組み考え込む。自分に言い聞かせるような言葉だ。
「しかし……うちにそんな余力がありますかね……」
だが角児の思いをよそに、裕子さんは言下した。
「もちろん、十分にありますよ」
金策ばかりに追われて、自分の会社を過小評価しているのか、それとも本当に良点が思い当たらないのか、角児は右に左に首をひねっている。
「うちには負債ばかりで、特筆するような項目はありませんよ、会長……」
「そうかしら。自分の足下は案外と見えないものよね。エスティ運送さんは、これからも成長すると、私はみていますよ」
そう言うと裕子さんは、鼻梁をつんと上に向け、笑みを浮かべた。
「『木を見て森を見ず』とは、よく使う言葉ですが、エスティ運送さんの場合は、その逆です。
銀行を始め皆さま方は、森を見すぎて、木を見過ごしておられますよ」
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