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「誰に?」
「お父さんと綾さん」
私の答えに、運転していた蓮さんは鼻で笑った。
「反対なんてされるはずねぇーだろ」
「は? そんなの分からないじゃん」
「もし、反対されるなら一緒に住むって言った時点で反対されんだろ」
「同棲と結婚は違うじゃん」
「大して変わらねぇ―よ。結婚を前提にした同棲なんだから」
「それって蓮さんの中での決定事項でしょ」
「なに言ってんだ?周りの人間が決定してても仕方がねぇーだろ」
「……まぁ、そうだけど」
「だろ?」
「でも、順番的にはダメでしょ?」
「順番?」
「普通結婚してから子どもじゃない? 籍を入れる前に妊娠とか」
「……」
「『計画性がない』とか怒られたりしない?」
「……お前って……」
「……?」
「案外、真面目なんだな」
「は?」
「親父や綾さんがそんな理由で起こるはずねぇーだろ」
……やっぱり、蓮さんは私の心配ごとに本気で向き合ってはくれない。
私はその後も悶々と悩み
それは、響さんと綾さんの家に着くまで続いた。
◆◆◆◆◆
蓮さんと私が向き合って座り
テーブルを挟んだ向かい側にはお父さんと綾さん。
緊張しまくりの私と
相変わらず呑気な雰囲気を醸し出す蓮さん。
そんな対照的な私達をお父さんと綾さんは不思議そうに見つめている。
「今日はどうしたんだ? なんだか改まって」
そう切り出したのはお父さんで……。
『その言葉を待っていました』とばかりに蓮さんはソファの背凭れに預けていた身体を起こし、姿勢を正した。
「今日は報告しておきたいことがあって来た」
お父さんと綾さんは顔を見合わせた。
「報告って一体……」
「俺達、近い内に籍を入れようと思ってる」
「それって……結婚するって事?」
「あぁ」
蓮さんが頷くと
「本当に?」
綾さんに尋ねられ
お父さんも私に視線を向けている。
だから私は
「そうしたいと思っています」
はっきりと自分の意志を告げた。
「……美桜ちゃん」
「はい」
「本当にいいの?」
「はい」
「結婚する相手が蓮で本当にいいの?」
「は……はい」
「本当に?こんなにガキで俺様でエロい男を結婚相手に選んでいいの!?」
「えっ!?」
「綾、いい加減にしなさい」
お父さんが苦笑しながら綾さんを窘める。
「美桜さん」
「はい」
「私と初めて会った日のことを覚えてるかい?」
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