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中空に明るい満月が登り、周りの星々は月光に溶け、微かに瞬きをする。
月の光が地上に到達し、青白い月光が夜の世界をほの明るく浮き上がらせる。
夜の世界は、闇が圧倒的な力で全ての存在を覆い被し、物の輪郭はおぼろげで何かの存在を隠すように怪しげで。
暗闇は目を凝らしてもはっきりせず、何か得体の知れないものが先に潜んでいそうで、人の心を不安に掻き立てる。
だか、穏やかな月の光は夜の闇を退け、人の心を明るく灯すように安心させるのだ。
さて、今夜の月は大きな満月で、雲も無く、空全体を明るく照らし出していた。
闇が遠のき、土地の隅々までよく見通せる。
今夜の月はいつもよりも金色に輝き、一層大きく見えた。
人はその月をスーパームーンと呼び、その光を浴びると幸せになれると噂した。
この地方では月光浴と称して、満月の夜には庭先で宴会を催したりする。
飲んで食って、歌って踊って、大騒ぎだ。当然酔っ払いも増える。
宴もお開きとなり、明るい夜道をフラフラと酔っ払い達が家路に向かう。
千鳥足で、あっちへフラフラ、そっちへフラフラ。
明るい道筋、迷子になることなく家路につくと言いたいところだが、明るいのに安心して道端で酔いつぶれてそのまま朝まで寝入ったりする。
そして翌朝、家族に連れ帰られお小言を貰う。だが、月光浴の習慣で、その時だけは皆大目に見られる。
月に祝福をもらったんだから、グタグタ言うな。
奥さん達は、そんな旦那に毎回苦笑いするのだ。
人の気配のない森の奥でも、煌々と夜の世界は明るく照らされ、湖の水面はきらきらと光が揺れ、魚がパシャンと飛び跳ねた。
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