短編 模擬戦

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模擬戦にて 高校2年生になって初の実技魔術は、クラスメイト30名の実力を知るため模擬戦を行う事になった。魔術が苦手な俺にとっては苦痛な時間が今この時始まった。模擬戦組合せ一覧を目をやると相手は神結 カイリだ。 神結家と言えば魔術文明中期、属性魔術を開発し広めた家柄で軍上層部の3割は神結の名を持つ軍人がいると言われている。 彼らと同じ名というだけで周りは彼女に対し「魔術が得意」、「優等生」といったレッテルを張る。それは彼女にプレッシャーとなって重くのし掛かっている。彼女はそのプレッシャーを拒絶するかのように人を寄せ付けない雰囲気を周りにアピールし続けている。それによって「友達がいない」、「つまらない奴」といったレッテルを張られる事によって過度な期待感を抱かせないようにしている。 「なぁ陽真、いい引きしてるじゃん。相手はクール気取りの負けん気盛んな女子だ。負けんじゃねえぞ。男の本懐見せてやれ」 「煽んな、亮。神結さんが怒るぞ」 葦原 亮(ヨシハラ リョウ)。 小学生からの腐れ縁。常に快楽を求めてる男。 一度しかない人生を詰まらない事やって終わらせたくないと彼は節々でボヤいている。極端な話、今日進学,就職試験があったとして友達と遊ぶ約束が入っているとすれば後者を優先するような頭のネジが吹っ飛んだ考え方をしている。 そんな考え方の奴が高校に進学出来た事が奇跡だと俺は思っている。
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