短編 模擬戦

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「陽真も聞いたことあるだろ。同い年の女子で屈強な男子を片っ端からしめたおっかないのがいる話。それが神結だ」 亮の言う通り彼女に関わると模擬戦において引き分けか、負けの選択肢しかない。それでも彼女は自分の魔術に満足することなく純粋に強さのみを追い求めている。その心意気は正直眩しくて憧れる。 人の事は言えないが、高校生なのだから異性に興味を抱き自分を着飾ってはどうだ?そう抱かせてしまうほど、彼女は人生に面白みを抱いていない。 「この模擬戦に勝って負けた男子の無念を晴らせと?寝言を言うな、現実みろ。俺は魔術の才能の無い生徒ワースト10に入ってんだぞ」 俺には魔術の才能なんてない。 俺の魔術は先天的に持っている『危険を予知して避ける』魔術のみ。 避けるのが得意なだけで攻撃的な魔術を有していない。 それが学年ワースト10以内に入る理由。 但し、攻撃を避ける事に関しては誰よりも優れていると自負している。 実技魔術担当教員からは攻撃性の高い魔術を1つでも覚えれば、相手の隙を付き、攻撃性の高い魔術を当てるだけで学年トップ10には入れるとは言われてきた。 しかし、その攻撃性の高い魔術を覚えるのに難儀している為、ワーストの称号が未だに消えないのだ。 今まで数々の模擬戦を行ってきたがその敗因は、俺の危険予知魔術に体力が追い付かずガス切れを起こして負ける事にある。 我ながら情けない。
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