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模擬戦開始。
笛の音と共に始まる殺し合い。
己が抱く願いを念仏のように唱え感覚を研ぎ澄ましていく。
『争いは不要。平穏な世界がいつまでも続けばいいのに。俺は平穏な日々の中で行き続けたいだけだ。』
「神結さん、不快な思いさせてゴメン。亮は、あんなんだけど本当はいい奴なんだ」
「そう。貴方は私の事どう思ってるの?人は初めて会ったとき、第一印象で決まるという。貴方の目に映る私はどんな人?」
「そうだな…外見は物静かで、内面は誰よりも負けず嫌いの情熱的な人。うん。正直憧れる」
「はぁっ?人を小馬鹿にしてるでしょ、東雲君。下に見ないでくれる?」
「認めて欲しいんでしょ?自分の事。」
神結家と言えば術士の多くを輩出している家柄だ。
本来なら魔術をお遊び感覚で学ぶ学校に通う家柄の人間ではない。
そんな家柄の人がここにいると言うことは、魔術に関する業界では不要と言われたも同然である。
恐らくそこに生まれた神結さんは、酷く言われてきたんだろう。
何故お前は、ろくに魔術が使えないのかと。何故、皆に出来ることが出来ないだと言われ続けた。だから、誰かに認めて欲しい。居場所が欲しい。
容易いんだよ。そこを付けば俺は勝てる。
見下せば有無を言わさず一刀両断。
明日からベッドの上での生活が始まる。
「…」
黙りしてないで噛みついてこいよ。詰まらないだろ。
雑魚だからって舐めて掛かると噛まれるって事教えてやるよ。
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