1640人が本棚に入れています
本棚に追加
/435ページ
夜、幼馴染みの俊也が俺の店にやって来た。
こいつも、この商店街にある業務用調理器具店で働いていて、俺も仕事柄、何かとお世話になっている。
俊也も正義も俺にとっては親友であり、良き仕事仲間だ。
子供の頃の遊び友達が成人してからも支えとなってくれることに、俺は心から感謝している。
恥ずかしいから口には出さないが。
大食漢の正義に比べ、俊也が酒を飲む時は、中年オヤジの様に小鉢に入った摘みと小皿程度の料理で済ます。
仕事が忙しかったのか、俊也はジョッキのビールを喉を鳴らして飲み干すと、今度はハイボールに変えてゆっくり晩酌を始めた。
今日は金曜で、居酒屋は繁盛しているだろうが、俺の店は夕方から暇だった。
金曜の夜にわざわざ食堂で食事をするのは、常連客しかいない。
5席あるテーブル席の内、1つにサラリーマンのオヤジが数人腰掛けているだけで、あとはカウンターにいつものおっさんと俊也が座っていた。
おっさんはビールをジョッキで頼まない。
いつも瓶で、刺身や天ぷらを食いながら、グラスにビールを注いで飲む。
大抵1人で来て、俺や明美さんを捕まえは、話し相手をさせようとする。
最初のコメントを投稿しよう!