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夜、幼馴染みの俊也が俺の店にやって来た。 こいつも、この商店街にある業務用調理器具店で働いていて、俺も仕事柄、何かとお世話になっている。 俊也も正義も俺にとっては親友であり、良き仕事仲間だ。 子供の頃の遊び友達が成人してからも支えとなってくれることに、俺は心から感謝している。 恥ずかしいから口には出さないが。 大食漢の正義に比べ、俊也が酒を飲む時は、中年オヤジの様に小鉢に入った摘みと小皿程度の料理で済ます。 仕事が忙しかったのか、俊也はジョッキのビールを喉を鳴らして飲み干すと、今度はハイボールに変えてゆっくり晩酌を始めた。 今日は金曜で、居酒屋は繁盛しているだろうが、俺の店は夕方から暇だった。 金曜の夜にわざわざ食堂で食事をするのは、常連客しかいない。 5席あるテーブル席の内、1つにサラリーマンのオヤジが数人腰掛けているだけで、あとはカウンターにいつものおっさんと俊也が座っていた。 おっさんはビールをジョッキで頼まない。 いつも瓶で、刺身や天ぷらを食いながら、グラスにビールを注いで飲む。 大抵1人で来て、俺や明美さんを捕まえは、話し相手をさせようとする。
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