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裕太だけが、いつもの調子で陽気に喋る。 「片平はケンカは強いんだけど、やってる事がショボいんだよなぁ。 人助け的な事しなきゃ、ヒデくんみたいな武勇伝は作れねえよ。」 「俺は、真似なんかしてねえぞ!」 片平がムッとする。 そうだろう。 俺も真似されたくない。 裕太が徹に視線を移して言った。 「小澤は、さすがヒデくんの弟だなって思うよ。 強面の先輩に凄まれても、納得出来ない事には従わないもんな。」 へえ、そうなんだ。 こいつびびりだから、命令されたら何でも言いなりになると思っていたが。 裕太が付け加える。 「でも、小澤は暗いんだよなぁ。 どっか掴み所ないし。 それなのに、ちゃんと彼女いるなんて…。」 俺は思わず叫んでしまった。 「徹!おまえ、彼女いんの?」 俺と目を合わせないように下を向く徹の顔は、真っ赤に染まっている。 それでも俺は、覗き込むように見つめてしまった。 裕太と同じで、俺も、暗くて何を考えているか分からない徹に恋人がいるのは腑に落ちない。
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