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ふと、墓参りの帰りを思い出す。
あいつも道の駅でお土産買ってたな。
それを俺に見られないように隠して…。
あれって、彼女へのプレゼントか?
俺がにやっとして徹を見ると、一度上げた顔をまた元に戻してしまった。
裕太は一頻り喋った後、急に畏まって俺に言った。
「で、ヒデくんに伝えたかったのは、俺達、停戦しました、って事なんだ。」
「あ、そ。」
ガキの喧嘩だ。
勝手にやってくれ。
但し…。
「これからも人様に迷惑だけは掛けるなよ。
あと、殴り合いにも限度ってもんがあるんだからな。」
裕太はにっこり笑って頷く。
こいつは本当に素直だ。
片平が立ち上がり、帰る前に俺を一瞥する。
何だ?何か言いたい事でもあるのか?
「あんた、イカレ野郎じゃないんだな。」
くそ生意気なガキめ!
でも、悪く言われた訳でもないから、俺はぐっと堪える。
こいつには、助けて貰った恩もあるしな。
我慢、我慢。
片平が出て行くと、徹も立ち上がって厨房の奥から部屋に上がって行った。
後に残ったのは裕太だ。
その時、突然、飯島が声を掛けた。
「ねえ、きみ、裕太くんだっけ?
こっちにおいでよ。」
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