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――あれから数年後――
「おはよう!」
教室に着くなりかなこは元気に挨拶をする。
「おはよう、かなこ!」
かなこの挨拶に気付き机で何か作業していた少年は顔をあげた。
そうこの少年こそがあの時かなこの手を優しく握った幼馴染の少年なのだ。
「あれ?
また変な物作ってる?」
かなこは少年の手元を好奇の眼差しで見ている。
「変な物とは心外だな。
これは何れ我々を守るすべになるものなんだぞ?」
銃らしきものを作っていた少年はそれを手にとりかなこに見せた。
「天才の言う事はわからないわ」
ジロジロと銃を見ながらかなこは言う。
「嫌味かな?」
かなこの言葉に少年は敏感に反応する。
「嫌味じゃないよ。
貴方が頭いいのは事実じゃない」
かなこは少年に笑顔を向ける。
「ん。
褒め言葉として取っておこう」
かなこの笑顔を見て少年は安堵の表情を浮かべる。
「ねぇ、今日は空が見える」
ふとかなこは窓の外を見た。
外は雲一つなく澄んだ青空が広がっている。
「ホントだ。
いつも真っ暗な空なのに珍しいな」
少年は不思議そうに空を見上げる。
大気汚染が進行し闇に囲まれた空が当たり前だった日常。
この不可解な出来事はニュースでも流されていた。
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