プロローグ。

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……―― 大切なかなこ。 あの時……。 泣いているかなこを見て誓った。 かなこは俺が守る……と。 ――…… 少年はあの日の事を思い出していた。 大切なかなこ。 かなこを失いたくないと心底思っていた。 「一人より二人。 文殊の知恵……とまではいかないかもしれないけどわたしは君といたい」 少年の言葉を押し切るかのようにかなこは言う。 「……わかったよ。 かなこはそう言いだしたらもう聞かないモンな」 必死なかなこを見て少年は一緒に行動する事を決意する。 「何それ? わたしが頑固者みたいじゃん」 少年の言葉にかなこは一々反応する。 「違うのか?」 かなこの目を見て少年は問う。 「違わないけど……」 図星を言い当てられかなこは思わず口ごもる。 「まぁ、そこが可愛いんだけどな」 ポリポリと少年は頬かきながら言う。 「え?」 少年の言葉にかなこは目を丸くする。 「……俺はかなこが好きなの。 恋愛とかそういうのじゃなくって、その……。 マブダチみたいな……。 は、恥ずかしい事言わすな」 顔を赤らめ少年は照れ臭そうにしている。 「ふふふ……」 照れる少年を見てかなこは思わず笑みがこぼれた。
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