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ーーダン!ダン!ダンダンダン!ーー
今度は北東だ。太鼓が打ち鳴らされている。
「……はんっ」
それは、悲しみを宿した諦めの失笑。
「友たる紅の民も、惑わされたのだな。いや、墜ちるならばせめて……と思ったのか?」
その瞳で紅の旗を眺める。紅の旗は慈しみの民『紅国』
何を思いこの藍の地に侵攻してきたのだろうか?
「その手を紅に染めるのか?」
ーーダン!ダン!ダンダンダン!ーー
「どんな理由であれ、慈しみを手放した紅は、単なる血の色の旗に変わるであろう」
静かに言葉は流れた。
西に『白国』
南に『黒国』
北東に『紅国』
そして、ここは深き愛の民『藍国』である。
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