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夜の薔薇園は美しくどこか妖艶だ。 人目がないのをいい事に 薔薇たちは貪欲に呼吸して――。 しっとりとした夜露を 艶やかな花弁いっぱいに誘い込む。 まるでベッドで誰かさんを待つ僕みたい。 湿った花弁にゆっくり指を沿わせると 小指の先からぽつり 夜露が垂れた。
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