Ⅲ
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「お願い……もう、やめて……!」 あがく茅乃の手が 我知らず征司の摘んだ純白の薔薇を握り潰した。 「さあ早く、何もなかった顔しなくちゃ」 ようやく満足した僕は 薔薇のアーチの向こうまで 足音が近づいてきてやっと――。 「ごきげんようお嬢さん。またね」 彼女の身体を解放し キャンドルの灯りを吹き消した。
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