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イテは参列を掻き分けた。
人と人の間を背伸びをしてクリュウは見つからない。
視線を這わせる先で城のバルコニーに出てきたコルレット王子の姿に言葉を飲み込んだ。
カトル王とは背丈が違う。身体つきもガッチリとした茶髪の青年が鳶色の眼差しを民に向けていた。着ている服も両親が織り込んだ布ではない。まるで別の紋様で仕立てられたものであった。コルレット王子の頭にはカトル王が被っていた筈の王冠が既に載せられている。
そのコルレット王子の隣にはフードを被った人物が控えていた。
イテはコルレット王子よりも傍らに跪く人物が気になった。
王室の女ではない。イテは何度もダンスパーティに招待されているから分かるのだ。
「皆のもの良く聞け。カトル王が石となった。イリックと契約を違えたためだ。クリュウという騎士が姿を消した。見つけ次第、城へ差し出せ! それが今後の国の行く末を決める!」
コルレット王子の凛とした言葉に全体が騒いだ。
イテは、困惑する。
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