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異界の生物が砕かれる。
イリックが煙の中から姿を表す。噛み付かれた傷は修復している。冗談の領域を越えていた。
クリュウは空中に投げ出された身体の動かしかたを徐々に覚えていく。ゆっくりとではあったが自由が戻ってきたことを理解した。
イリックが手を横に大きく払う。浮かび上がった粒子は青く輝いた。
「愚かな行為もそこまでとなると見苦しい。イリック。貴女を殺せないのであれば封じ込め要塞に飾るだけ。ノーリック、エリック! 手伝え!」
ルドワードが二人の魔女を呼んだ。
「言われなくても手伝う!」
ノーリックが魔幻の杖に魔石を取り付ける。
クリュウが冷静さに欠けていたのか手元にあった魔幻の杖は消えていた。
魔女が扱う魔法を人間が理解することは不可能だ。
魔法は魔法として生まれた者にしか与えられない。
魔法は魂によって受け継がれ、存在している未知の力だ。
「私を封じる? やってみなさいよ!」
イリックが愉しげに笑う。
クリュウは遠い魂の記憶を思い出した。
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