10章

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アルミナに指示されたままにイリックの腹を突き刺した。 断片的な記憶が脳裏を巡る。 イリックは簡単には死ななかった。 人間ならば致死に達する血液を床に流し、狂った眼差しでクリュウを射る抜いていた。 刃より鋭い恨みを感じ、クリュウは足を竦めたことを思い出す。 血液は爪先まで赤く染めていた。 その時と今のイリックは同じではないか。 乱れた口調は本性なのだろう。 クリュウは立ち向かう三人の魔女を見る。 空中で閃くのは蛇行した稲妻であった。 クリュウは目を覆うしかない。 その場を動けずに見守るしかできない。 ルドワードが何故連れてきたのかを考える余裕は残されてはいなかった。 戸惑いと焦りに汚染されたクリュウに飛んできたのはノーリックが勝ち取った剣だ。 ノーリックが魔幻の杖と交換したのだ。 空のてに剣の重みを感じて、クリュウは目を開くことができた。 「お手なしくなさい!」 エリックの咆哮に伸びる稲妻の糸。 「私がスウリックのように簡単に捕まるとでも?」 イリックは誇らしげに稲妻の糸を跳ね返す。クリュウには手を翳しただけにしか見えない。
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